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トッテナム ホットスパー (スパーズ)について語るブログ

スパーズCMF+ホイのスタッツ比較

普段はピッチ外のネタを扱っている本ブログだが、今回はFBREFのデータを使ってスパーズCMFのスタッツ比較を簡単に行う。

 

対象は'19-'20シーズンのプレミアリーグにおける、ロチェルソ、ウィンクス、シソコ、ホイビィエ、エンドンベレの5人のスタッツ。値は全て90分当たりに倒している。なおジェドソンやスキップは出場時間が少なすぎるため除外した。

 

 

1. 守備アクション

左から

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  • ロチェルソは本来攻撃的な選手のはずだが大奮闘。
  • 守備が良くないと言われがちなウィンクスと、馬車馬シソコのスタッツが似通っているのも興味深い。釣り出されることが多かったために肝心の時に本来居るべき場所におらず、守備アクションが低くなっていると解釈した。
  • 見ての通りホイは全てのスタッツでハイレベルである。基本的にプレスが機能しているセインツと守備組織が崩壊してしまったスパーズと単純に比較することは出来ないが。
  • 出場時間が少なくサンプル不足ではあるが、タンギの守備スタッツ自体は悪くはない。だがパスをブロックしたりインターセプトする数は多いものの、クリア数は少ないので自陣ボックス付近まで戻っての守備はしていなかったのかもしれない。

 

2. プレス関連スタッツ

左から

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  • ロチェルソはやはり奮闘しているようで、ピッチ上全てのエリアでプレスをかけまくっているという結果に。後半スタミナ切れしているように見える理由はこれなのかもしれない。
  •  目立つのはシソコとウィンクスの自陣サードでのプレスの多さ/相手サードでの少なさ。これはスパーズのプレスが昨日していないために高い位置まで出ることが出来ないand/or引いて守るモウのスタイルが影響していそうだ。
  • ホイの数字は突出したものではない。自らプレスをかけるというよりは、周りに指示を出して相手の選択肢を狭め、そこから自らのタックルやインターセプトでボール奪取をしているのではないかという仮説が浮かんだ。この仮説が正しいかは新シーズンに見極めたい。
  • タンギはプレスをサボっている訳では無さそう。やはりトランジション時に戻りが遅い印象が強く悪目立ちしているのかもしれない。

3. パス関連スタッツ①

「プレスをかけられてもパスの受け手/出し手になれるか?更にプレッシャーの弱い(はずの)逆サイドにボールを逃がし、チームのビルドアップを助けることが出来るか?」を見たくて作ったプロット。

  • 縦軸: 「サイドをスイッチするパス」
  • 横軸: 「プレスを受けながらのパス」
  • 円の大きさ: 「オープンプレーでのパス数」

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  • ロチェルソはあれだけ守備をこなしながらビルドアップでの貢献も多かったようだ。
  • ウィンクスはいずれも高水準(当社比)。
  • ホイはプレスをかけられた状態でもボールを扱う能力が高いようだ。
  • タンギはやはりプレッシャー下でのボールの扱いが上手く、縦パスを選択することが多いためスイッチプレーは少ない。
  • そしてシソコは予想通りビルドアップへの貢献度がとても低く、パス数自体もやや少ない。

 4. パス関連スタッツ②

「 ボールを前進させ、更に得点に関与するような積極的なパスを出すことが出来るか?」のプロット。

  • 縦軸: 「PA内へのパス」
  • 横軸: 「Progressive pass (前進性のパス数)」
  • 円の大きさ: 「xA(アシスト期待値)」

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  • ロチェルソは相変わらず高水準。2列目でプレーすることもあったので、その分高い数字が出るのは当然という面もあるが。
  • ホイはボールを前進させるパス、ボックス内へのパス共に多く非常に積極的なプレーを好む選手だと分かる。さらにxAも高くチャンス創出までこなせるようだ。
  • ウィンクスは縦パスが少ないと言われていたが、実際はボールを前進させるパス自体は多い。本当に足りていないのはボックス内へのパスとチャンス創出。個人的に今のままでも十分な戦力だと思うが、この点を改善出来ればプレミアトップクラスのボランチになるといっても過言ではないだろう。
  • シソコが物足りないのは予想通りだが、タンギもかなり物足りないように見える。だがそう見える理由は、タンギが得意としているのはライン間でポケットを見つけた味方への縦パス(≒キーパス)で、直接ボックス内にパスを入れるプレー(≒クロス)を得意としているわけではないからだ。実際90分辺りのキーパス数はMFの中でロチェルソに次ぐ2位となっている。

総括

ロチェルソ: ゴールやアシストという目に見える結果はあまり出ていないものの、現状戦力の中では最もオールラウンドに活躍している。来季は目に見える数字を残して欲しい。

 

ウィンクス: 自分の良さは出せているし、終盤は守備面も向上していた印象が個人的にはある。ホイの積極的にボックス内にボールを送るプレーを見て良い刺激としてもらい、より穴の無い選手に成長してもらいたい。

 

シソコ: かなり存在感を失ってしまっているが、オーリエの介護、意図的にトランジションを減らすモウの塩戦術の割を食っている可能性が高い。シソコは他の選手が当たり前に出来ることが出来ないが、他の選手にシソコの出来ることが容易に出来ないのもまた事実である。決して使い勝手が良いとは言えないが、彼の力を必要とする局面は必ずあるはず。

 

ホイ: 積極的な守備アクションやボックスに迫るプレー等、今のボランチに欠けている部分を補う存在となれそうな予感。更にスタッツに現れないリーダーシップやコーチング、バランス感覚等も長所として指摘されており、数字では測れないチーム全体への影響力を期待したい。

 

タンギ: 守備をサボっている印象があるが、スタッツ上は必ずしもそうとは言えない。あとはネガトラで置いて行かれる場面が無くなれば良いのだが。試合を見て得た印象と異なり、課題は守備面だけでなく攻撃面にもありそうだ。得意のドリブルやバイタル付近での縦パスは即チャンスに結び付くプレーである一方、タックルやインターセプトを食らうとカウンターを食らうリスキーなプレーでもあり、プレッシング守備の構築に苦しんだ昨季のスパーズというチームの中では使いづらかったかもしれない。サイドチェンジやクロス等、もっとパスにバリエーションをもたらすことでリスクとリターンのバランスを取ることを考えるべきかもしれない。

 

 違う見方もあるのでは?こんなスタッツも見たい、という意見があればTwitterアカウント@yukithfcまでよろしくお願いします!