レヴィが明かした長期戦略、新スタジアム、そして補強にまつわる事実
スパーズサポーターを代表するトッテナム・サポーターズトラスト(THST)とクラブとの定例ミーティングがあったのでその内容を要約しつつ解説、というか雑感を垂れ流す。
普段レヴィが表舞台に出てくることはないので、THSTとのミーティングはレヴィに色々問いただす()貴重な機会です。
要約
ENICが描く長期プランについて
- そもそも2001年にENICがスパーズを買った時の目標は、「ヨーロッパの舞台で活躍するクラブ」という地位まで押し上げること。これは既に達成済み。
- 時を同じくして新スタ計画も動き出していた。最初の土地買収は2001年。
- 目標達成のため、「有機的」な戦略を取った。つまりトレーニング施設に投資し、自前で良い選手を生み出すということ。
- 次の目標はCLで「継続的に」優勝候補となること。
- スカッドに投資すればすぐに結果は得られるかもしれないが、「持続的(sustainable)」に、最高の舞台で競うクラブになるための下地としてスタジアムが必要。クラブを危険にさらしたくない。
新スタについて
- スタジアム関連の支出はもう一年続く。(ミュージアムがまだ出来てない。)
- ウェンブリーとの二足の草鞋は財政的にきつかった。
- 資金調達のため債権を発行するかも、未定。ロスチャイルドと相談中。
- NIKEとのネーミングライツの話し合いはしていない。そもそもネーミングライツはNIKEのビジネスモデルではないのであり得ない。
財政と補強
- NIKEとのユニサプライヤー契約が他クラブと比べて少額なのは?→他クラブと違って販売権等をクラブでコントロールしたいから。あと単純に売り上げ枚数がMUなんかと比べて少ないのが事実。
- 新スタ建設は補強に影響はない!ドン!!!
- 補強用の予算はある、そこに売却益を足して獲得に充てるモデル。
- 過去二回の移籍市場は売却が上手くいかなかったので補強できなかった。金が無いわけじゃないよ。移籍市場の流動性が低くなってるのが悪いよ。俺のせいじゃないよ。
- 非ホームグロウンの枠がいっぱいなのは問題。
- CLに出場し続けることが出来れば、もっと柔軟に動けるようになる。
解説 / 雑感
長期目標と戦略については過去2記事で書いた通り。
「グローカル戦略」のスパーズ新スタジアム - To write is to do
TOP4の牙城を崩したスパーズの経営戦略 - To write is to do
ENIC買収時は10位前後をさまよう中位クラブだったのが、今やCLに3期連続出場し、今年はベスト8まで進出。
大型補強を敢行するのではなく、「売却益を再投資」*「若手育成」の両輪でここまで来られたのは単純に凄い。ちなみに「持続的」とか「有機的」とか言ってるのは、”TOP4~”の記事で書いた、放映権バブルなどの外部要因に頼らず「自前で稼げる」クラブになるという表現と同義。10~20年後に誰が正しかったのか分かる、という感じ。まあ今でもニューカッスルやエバートンあたりを見てみたら分かるやろ、という話でもある。
補強方針に影響はない!と言ってるのは事実。でもこれには裏がある。何かと言うと、スパーズの補強戦略は「売却益を再投資」なのでそもそも原資がほとんど不要なのである。17-18シーズンにサンチェス、モウラ、オーリエ、ジョレンテ等スタメン級を複数獲得出来たのは、ウォーカー、ヴィマー、べンタレブ等の売却益があったから。元々金のかからないオペレーションをしてるので、借金があろうとなかろうと関係無いよという話なのである。だからスタジアムの借金で主力を放出しないといけない!とか誰かがよく言ってるけど、あれは当たってるようで外れ。こっちは好きでセルフ補強禁止やってるんやで←
This is an old chart i’ve referred to a few times — tracking transfer income and expenditure, along with net spend. Poch has essentially operated at zero net spend, once you factor in Dembele sale pic.twitter.com/YcoH1x9ECF
— Charles COYS (@charlesrich82) March 17, 2019
以上の話を踏まえると、ほとんど稼働してない選手(ワニャマ、ヤンセン、エンクドゥ)や契約切れの近い選手(ジョレンテ、フォルム、トビー、エリクセン)がいるので、来夏は早々に売れる選手を売って大幅な入れ替えを敢行することが目標。
特にHG枠を埋めたいので、2人くらいチャンピオンシップから引き上げるかもしれない。また第3GKとして中下位の控えGKを引き抜く可能性も有。
チャンピオンシップ!?しょぼい補強だな!と思われるかもしれないけど、レヴィが言ってるようにPL内での移籍、特にHG選手の移籍は限りなく困難になっているのが事実。これは中下位のクラブが放映権バブルのおかげで選手を売らなくて良くなったの原因。例えばパレスがザハと契約延長して、どうしても欲しければ£50m出せ!とか言ってる時代ですよ。
ちなみにモウリーニョも、「昔ならユナイテッドがスパーズのスター選手を引き抜けたが今は無理。」と言っている。スパーズが今の戦力をキープ出来るのもまた放映権バブルのおかげなのである。エリクセンの去就は金銭面じゃなさそうだし、トビーは毒親が悪いのでまた別の話。
いいネタがあったので今回は軽めに書いてみた。こうやって記事を積み重ねて書いていけるのは良いので続けて行きたい。